革新県政の会・革新市政の会

2012年6月11日

なごやマイトーク(4)モデル学区での地域委員を体験して/緑区・中島信行さん

ことしも「広報なごや」5月号で「地域委員会の新たなモデル地域を募集します」
との呼びかけが載りました。私は、2010年3月から、はじめてモデル学区の一つに選定された緑区の桶狭間学区で地域委員(公募委員5人、
学区連絡協議会推薦委員4人、計9人の委員で構成)の一人として活動しました。地域委員会の会議は2年間の任期中13回開かれましたが、
すべて公開で行なわれ、区役所のまちづくり推進室が事務局を務めてくれました。

 

第1回会議は数十名の傍聴者とともに河村市長はじめ、緑区長、土木事務所所長、消防署副所長、保健所予防課長らも参加しました。

 

一住民として、この地域委員になって住民の皆さんの諸要求の実現のために活動できて本当によかったと思っています。
暮らしやすい地域をつくるための意見や要望は、地域委員だけでなく傍聴者からも積極的に出されて、
文化活動をふくめた新旧住民のコミュニケーションをつくり出す活動、公民館のトイレや台所の改造や、エアコンの設置、子どもの通行の安全、
防災活動、歴史を生かしたまちづくり、高齢者福祉と子育て支援、防犯や公園整備、街路灯の設置など、
行政に対する施策の拡充を求める要望がたくさん出されました。これまで個々に要望を出しても「予算が無い」
という言葉で問題にされなかった地域要求が、行攻の目の前で公然と語り合われ、それか住民要求として集約されていったことです。
私は他の地域委員とも共同して切実な要望を一つでも多く実現し、暮らしやすく、「桶狭間に住んでよかった」
と誇りに思えるまちにしたいと思ってとりくみました。

 

ただ私は、この地域委員会の成り立ちと進め方には大きな問題点も感じています。

 

1つは、区政協力委員制度や町内会との関係について何の総括もせず、「地域委員会」の導入を強行したことです。

 

2つ目は、「地域委員会」を設置するやり方も住民の理解と納得を得る事を大事にしないやり方で、住民説明会は1回、
2010年1月18日モデル地域の決定、同2月26日投票の締め切りという短期間の選挙日程で強行されました。結果、
地域委員を選挙する資格をもった住民は対象者の10.9%で867人、実際に投票に参加した人は759人。対象住民の90%
以上か不参加の状態です。「登録」しなければ投票資格が持てないことも一つの問題点です。

 

3つ目に根本問題ですが、河村市長はこの地域委員会をすすめるにあたって、保育園の待機児童は
「アパートの空いている部屋で地域の人がみれば安全」と言って、本来行政が負うべき保育責任を放棄したり、児童虐待への対応なども
「ようわかっとる地域(委員会)でめんどうみれるようになれば・・」などと言って、
高度に専門性の必要なことまで地域委員会にぶつける考えでいることです。こんなことは、絶対容認できません。

 

こうした問題点があることを念頭に、その打開のためのとりくみをすすめつつ、民主的な住民自治はどのようにすすめたらよいのか、
行政も議会も、区政協力委員会や町内会も専門家の知恵も借りながら、住民参加での論議を繰り返し行なうことが必要と思います。

 

平和と民主主義・
暮らしを守る緑区懇談会事務室長(緑区在住)

中島信行さん 

  (2012年5月23日記)