革新県政の会・革新市政の会

2008年10月20日

“お産難民”、医療崩壊の根っこは、国社会保障費の毎年の削減(産科問題シンポに参加して)

愛知県保険医協会が開いた「産科の明日を考える―お産するところありますか?」をテーマにしたシンポジウム(9月28日)に参加しました。
“お産難民”ということばが生まれるほど深刻化している産科医療の問題を考えあい、打開道を探ろうというものです。

討論で一致して出されたのは、医療が高度化しているのに、国が現状維持どころか、
毎年2200億円もの社会保障費を削減してきたことに医療崩壊の最大の原因があるとの指摘でした。

 

パネリストは、前田津紀夫(静岡県焼津市・産婦人科病院長)、斉藤みち子(産婦人科医、愛知県保険医協会副理事長)、山口千穂(医師・
みなと協立病院)、加藤智代子(助産師・堀尾安城病院)、野々垣滋子(安心して守山市民病院でお産をしたいママの会)の4氏。参加者は、
医師など医療従事者、一般市民42人で、フロアーからの発言もふくめ、生々しい実態や打開の方策が本音で討論されました。それらを通じて、
以下のような課題が浮かび上がったと思います。

 

第一は、国の分断政策が根源にある医療事故への過度な司法、刑法の介入をやめさせるとともに、市民、
わけてもマスコミの冷静な取り扱いが求められていること。

 

第二は、分娩のなかで起きる異常や事故はゼロではない、医療側にお任せ、「お産は安全」
は当たり前という安易な認識を医療者と市民とが膝を交えて話合い、あらためて行くこと。

 

第三は、前田医師らが地域の開業医や病院勤務医と、学閥を排し、顔見知りになり、相互乗り入れの診療、手術で支えあっている経験や、
厚生労働省看護課長の02・04年通知を撤廃させて、かつて行われていた看護師の分娩第1期の内診を復活させ、
産科診療所の窮状を緩和させるなど、持てる力を出し合い、地域医療を守って行くこと。

 

シンポでは最後に、国の責任で医師、助産師を育成、確保し、産科医療の再構築をすすめることや、
無過失であっても不幸にして生じた医療事故の公的な救済措置を求める、「“お産難民”を出さないために」のアッピールを採択しました。

 

北区・松岡洋文