2014年7月7日
だれもが安心して医療を受けられる国保制度に 改善を求め愛知県社保協が交流集会
保険料が高すぎて払えないなど、問題が噴出している国民健康保険制度の改善を求める「国保改善運動交流集会」が6月28日、名古屋市内で開かれました。愛知県社会保障推進協議会が呼び掛けたもので、国保の都道府県単位化、名古屋市の資格証明書(保険料を滞納している場合、正規の保険証に代わって出されるもの。窓口で満額の医療費支払わなければならない)交付の急増、保険料滞納・差押えなどの問題をめぐって、団体や地域の運動が報告されました。
このうち、名古屋日赤病院・医療社会事業課長の黒木信之氏は、2012年度に同病院で資格証明書の患者が外来で25件、入院で5件あった事実も示しながら、資格証明書は患者・家族に新たな借金を負わせることになり、「国民皆保険」の崩壊につながるものと指摘。行政が資格証発行の前に、保険料減免・分納、生活保護の相談など、関係職種の連係を強めることや、「医療を受ける権利」保障の上からも、資格証明書ではなく短期保険証交付による対応などの改善を求めました。
名古屋市の国保と高齢者医療をよくする市民の会の知崎広二氏は、かつては、優れた独自減免制度や一般会計からの繰り入れ、少ない資格証発行数など、全国に誇れた同市の国保制度が、いまでは、保険料は5大政令市の中で2番目の高さになり、資格証明書発行は県内市町村全体で5,404件中、名古屋市だけで4,338件にもなっている実態を紹介。こうした問題の改善を求めて、ことしも「国保改善署名」運動に取り組み決意を述べました。
長友薫輝三重県立短大教授が「国保制度の改善の課題」をテーマに講演しました。国保を含む日本の社会保険制度は、単なる助け合いの制度ではなく、公費負担・事業主負担をともなう社会原理を持つものとして対応することが大切だと指摘しました。(了)